日本の国土は、全面積の約7割が森林で占められています。そのうちの4割が戦後を中心に植栽された杉やひのき等の人工林です。人工林は、植栽して5年は下草刈りを行い、その後も枝打ちや間伐を定期的に行うことで良質な木材の原料へと成長していきます。そうして育てられた木は60年の月日を経てようやく材料として使える木へと成長します。戦後、植林された人工林が充実して造成期を過ぎ、まさに利用期を迎えている現在。森林の一部を伐採して木材を利用することが社会貢献へとつがなることが注目されています。また、街の中の木造住宅は「第2の森林」と呼ばれているように木は形を変えても私たちの暮らしのなかで生き続け様々な良い影響を与えてくれます。
健康で快適な木造住宅は、健康な森のサイクルと繋がっているのです。
森林は、二酸化炭素を吸収し光合成により酸素を放出しています。二酸化炭素などの温室効果ガスが大気中に増え地球全体の気温が上がる地球温暖化が深刻な問題となっている現在、森林の役割があらためて注目されています。人工林では年間の二酸化炭素の吸収量が大きくなるころ木を伐採し、住宅や家具等に利用、伐採跡に新たな苗木を植えることで、次世代まで豊かな森林資源を残す好循環が生まれます。
樹木はCO2を吸収し、炭素(C)として体内に蓄える働きがあります。木造住宅となっても炭素は蓄え続けていきます。このため健全な森林を育成し、そこから生産される木材を利用し跡地に再度森林を育成することで森林はCO2をたっぷり吸収し、地球温暖化防止に貢献できます。 | |
樹木の根は土壌をつなぎ止める役割を果たし、下草や落ち葉は降雨等による土壌の流出を抑えてくれます。また、森林の土壌は水を蓄える機能が高いため蓄えた水をゆっくりと河川に流すことで洪水や渇水を緩和し土砂災害を防止します。 | |
国産材の利用が進むと、地域における林業生産や製材加工等の木材産業が活性化し、雇用も創出することができます。 |
古く縄文時代から、私たち日本人の暮らしの中に取り入れられてきた木材。温かみがあり長く親しまれてきた材料であり、現在では健康にもよい影響を与えてくれる素材であることが様々な調査により証明されています。
木材は、無数の細胞からできており、そのひとつひとつに熱を伝えにくい空気が満たされているのでコンクリートや金属等に比べると断熱性に優れていて温かく感じるのです。
たとえば床に木を使うことで足元の冷えを防いでくれます。
また暖房をつけた時、鉄筋コンクリート造では熱伝導率(失熱)の大きいコンクリート壁に熱が奪われ部屋が暖まるまでに時間がかかりますが、木造の場合は素早く暖めることができ、室内、壁、床が同一の温度になり快適さも保たれます。
木材には湿度が高くなると水分を吸収し、低くなると水分を放出する調湿作用があります。
木材の備えている調湿作用は、住宅の内装に木材を使用することで発揮されます。木をたくさん使った室内は湿度が一定に保たれ、結露の防止、カビの防止など生活空間を快適にし健康にも良いと言われています。
木造住宅から匂う木材の香りは心をなごませてくれます。この香りは木材中に含まれている材油によるもので、国産樹種には様々の材油が含まれています。材油には、消臭作用、防ダニ作用、殺虫作用、防カビ、抗菌作用などがあることもわかっています。また、木の香りには気分を爽快にしたり、疲労を軽減させる作用があるので心と身体の健康にとっても良い影響を与えます。